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凛子は見た目こそ地味な方だが、一つに束ねた髪とセルフレームの眼鏡がポイントで、ぱっちり二重が可愛らしい。
勉強も出来るし黙っていれば美人なのだが、その噂好き加減から言い寄る男子はいなかった。
「てっちゃん、かわいいとこあるじゃない」
「減らねー口だな....」
「俺も、そろそろ行くわ」
「美帆ちゃん?」
「あぁ」
「いいなぁ」
「てっちゃんもさ、いるじゃんか。眼鏡の女神さまが」
「うるせー」
一人になった鉄弥は、煙草をくわえて大の字に寝そべる。
「俺だって、彼女ほしいわ....」
溜め息混じりの、ぼやき。
第三者から言われると、かえって意識してしまう。
不思議なものだ。
「凛ちゃん....ねぇ....」
少年の独り言は、宙を舞って消えた。