第二章-3
「雄太、早くこっち来なさいよ」
真奈美は部屋の入口でもじもじしている雄太を自分引っ張るように自分のベッドに座らせた。
「お腹すいてない?飲み物だけでいい?」
雄太が頷くと
「じゃあ今持ってくるから、あまり部屋を漁ったりしちゃ駄目よ」
と笑いながらキッチンに向かった。
(すげぇ……部屋もそうだけどこんなデカいベッドにいつも寝てるんだ、俺のベッドの二倍はあるな)
そんな事を思いながらも
(このベッド、真奈美さんの匂いが籠もってるかな)
雄太はそんな想像におもわずベッドに顔をうずめて思い切り匂いを吸い込んだ。
しかしその瞬間
「雄太ぁ、何してるのかな?」
突然ジュースを持った真奈美が部屋に戻ってきた。
雄太は慌てて
「うわっ、すいません、つい真奈美さんの匂いがしたから……」
と飛び上がった。
そして恐る恐る真奈美の顔を見ると別に怒った様子ではなく笑っていたので雄太はホッとした。
しばらく取り留めのない話をして二人でジュースを飲んだ。
そして二人共飲み終え
「ねえ、何で私今日こんな格好してるかわかる?」
「そういえばさっきも暑いって言ってましたよね………わかった、俺と会う前ジムに行ってたんですね」
「残念、ハズレ、実はね、一昨日の夜雄太に電話してから私ずっとこの格好のままずっと部屋でひきこもりしてたんだ、お風呂も入ってないの、まぁさすがに頭を洗ったり歯を磨いたりはしたけど、それでこのウエアはサウナスーツだから凄く暑いの、しかも下にスエットまで着てるからもう蒸れまくり、ほら」
胸元のチャックを少しあけ、汗ばんだスエットを雄太に見せつけると真奈美は自分の胸元に顔をうずめてスエットをパタパタとして
「うふっ、汗臭ぁい」
と嬉しそうに匂いを嗅いだ。
そんな真奈美を見て雄太は
「あの、俺も真奈美さんの匂いを嗅ぎたいんですけど………」
と真奈美に顔を近づけると
「うふふ、雄太も嗅ぎたいの?言っておくけど凄く臭いわよ、今まで生きてきた中で一番臭いもん、今日の私」
そう言いながらも妖しい顔で雄太を抱き締めた。
雄太も真奈美を抱き締め胸元あたりに顔を埋め匂いを嗅ぐと多少汗の匂いはしたがそれ程でもなく
「あの、そんなに臭くないですよ、真奈美さん」
と言って顔を上げ真奈美の顔を見た。
すると真奈美はニンマリと笑い
「そんな胸元あたりが臭い訳ないでしょ、雄太、覚悟しなさいよ」
とサウナスーツのチャックを開けて脱ぎ、雄太の顔にスエット越しの腋の下を押し付けた。
その瞬間、汗が乾いた匂いと汗が蒸れた匂いが混じり合った強烈な匂いに包まれた。
(くっ、臭い、真奈美さんみたいなキレイな人でも風呂に入らないとこんなに腋の下が臭くなるなんて、でも……最高だ)
雄太は夢中になって微妙に位置を変えながらまるで匂いの全てを嗅ぎ尽くすように激しく鼻を押し付けて何度も何度も匂いを嗅ぎ続けた。
すると
「やぁん、くすぐったぁい、もう、雄太ばっかりズルいわよ」
とまるでキスをするかのように真奈美は自分の顔を雄太の顔に寄せて一緒になって匂いを嗅いだ。
二人して顔を寄せ合っていると腋の下の匂いに混じってほのかに真奈美の甘ったるい吐息が雄太を包み込んでおもわず雄太は匂いを嗅ぎながら真奈美にキスをした。
すると真奈美も興奮しているようで自分から舌を絡め唾液を流し込んだ。
雄太はその唾液を全て飲み干して、更に真奈美の唇に吸いついた。