第九話(最終話)-3
それは安心できない。
杏子のことを「お義父さん」なんて呼べるか!
ま、愛と結婚する気なんてないけど。
『哀くんは元気かね?』
「字が違うだろ」
『おっと。愛くんは元気?』
「まぁ人並みにはな」
『それはなにより』
「義父ってんなら、放浪してないで愛の側にいてやれよ」
『そうしたいんだけど、ボクってロリコンだから、そうすると愛くんに悪戯しちゃいそうで』
悪戯って可愛らしい言葉で言うな。
そもそもロリコンだったのかよ。
「…………」
でも愛の忠誠っぷりを考えると、杏子が何かしても受け入れてしまいそうだな。
『話は終わり?』
「ああ」
『じゃ、今度はボクの愚痴を聞いてほしいーにゃ』
「愚痴?別にいいけど」
驚いた。杏子でも不満とかあったんだ。
『ボク、出番少なくね?』
「…………」
メタな愚痴キタコレ。
『こうして電話で話してはいるけれど、姿を見せたのは一回だけにゃーし、もしかしたら菜梨琴部枝先生より出番ないぜい?』
なんでお前が菜梨先生のフルネーム知ってるんだよ。
『はっ!?もしかしたら菜梨琴部枝先生こそが真のヒロイン!?』
さすがにそれは読者に怒られる。
今までぐだぐだにやってきたとはいえ、最終話でヒロイン交代って。
あるあ……ねーよ。
「杏子。いつ帰ってくるかわからないから、今言うぞ」
『え、そんな……だってボクたち兄弟だし……』
「気持ち悪い勘違いをするな」
『あれ?愛の告白の流れだと思ったんだけど』
「違う」
いや、違わなくはないか。
「俺、優紀と結婚するんだ」
『死亡フラグ』
「ちげーよ」
***
「にゃんさん、何か言ってました?」
「いや、どうも愛は杏子の養子らしいんだよ」
「な、なんだってー」
驚く愛。
いや、知ってただろお前。
「もしかして、中学も転校手続きとかしてるんですか?」
「もしかしなくても、してます」
「「…………」」
俺と優紀は言葉を失った。
ホントにサボり中だったのかよ!