第八話-7
傍芽は哀しそうな表情になり、そんなことを言う。
「そ、そこまでしなくていいですよ?」
「ううん。私は元カノ。所詮は過去の人間なのさ……ふ」
なんで無駄にかっこつけたんだ。
ともかく。
「優紀がいいって言ってるんだ。出番が終わり、とかメタな、いや、悲しいこと言うなよ」
「ありがと。でも、いつまでも魁に引きずられるわけにもいかないし、会ってたら、諦めきれないから……」
「傍芽さん……」
「優紀ちゃん。さっきの勝負、青春って感じで楽しかったよ。不戦敗だったけどさ」
「……傍芽さん」
締めくくろうとしている傍芽に対し、優紀は真っ直ぐと瞳を見つめて言う。
「傍芽さんは、私の友達です。魁さんを好きでいられるのは困りますけど、魁さんがいないところで、二人で遊んだりしましょう」
「魁みたいなことを言うね、優紀ちゃん」
「え?そ、そうですか?」
「うん。優紀ちゃん、ありがとう。でも、優紀ちゃんと会ってたら、少なからず魁のことは思い出しちゃうと思う」
「あ……そ、そうですね……」
傍芽はハーモニーちゃんの頭を優しく撫でる。
「じゃあね、ハーモニーちゃん」
「ハタメ、どこか行くの?」
「うん。もう会えないかもしれないんだ……」
「ノープロブレム」
「え……」
ハーモニーちゃんの言葉に、ショックを受ける傍芽。
「会えなくなっても、ハートは一緒。私たちは、いつまでも、繋がっているの」
「ハーモニーちゃん……」
(完)
「いや、勝手に終わらせるなよ」
「えー。いいアトモスフィアだったのにー」
せっかくのシリアスなシーンが、ハーモニーちゃんのせいでぐだぐだになってしまった。
「それじゃあね、魁、優紀ちゃん」
「ああ……」
「はい……」
「二年後に、シャボンディ諸島で!」
全然諦める気ねーじゃん。
(第八話 終)