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ゆうき!
【青春 恋愛小説】

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第八話-4

「ハーモニーちゃんのお母さんは、どんな人なの?」

訊いてはいけないことのような気もするけど、どうもハーモニーちゃんを捨てるような人だとは思えない。
なんとなくなんだけど……。

「ブレインが気持ちよくなる甘い粉を作ってるの」

それは前に聞いた。
ちなみに砂糖のことな。
あれが粉に分類されるのかは、やはり置いておくとして。

「そうじゃなくて。優しかった、とか」

「うん。優しかった。おっぱいも優しかった」

「そ、そっか」

おっぱいが優しいってどういう意味だろう。
子どもの言うことだし、あまり深く考えないでおくか。

「お父さんは?」

「パピーは、お休みの日にいつも遊んでくれたの」

「優しかったんだ」

「うん。ユー園児とか、スーソウカンとか、どう?ブツ縁とか、Aが完とかに連れてってくれた」

ユー園児→あなた園児。
スーソウカン→四索(麻雀の牌)のカン。
どう?ブツ縁→ぶたれる縁ってどう思う?
Aが完→Aという何かが完結。
うん。頑張って考えてみたけど、全っ然意味がわからない。

「ハーモニーちゃん。お待たせしました」

ハーモニーちゃんと漫才のような会話をしていると、優紀と傍芽がやってきた。
優紀の手にはオムライスが盛りつけられている皿。

「どうぞ召し上がれ」

「わーい♪」

無邪気にオムライスを食べるハーモニーちゃん。

「あの、こんな時になんですけど、ずっと気になってたことがあるんですよね」

「うん?」

「魁さんと傍芽さんは、以前お付き合いしていたんですよね?」

「そだよ。だから魁のことは、優紀ちゃんよりも知っている自信があるね」

「はぁ」

俺は思わずため息をつく。
俺と傍芽が付き合っていたのは、ほんのわずかな期間だけだというのに、自信満々でそんなことを言われたらため息をつきたくもなりますよ。
というか。
恋人になる以前も含めるならば、優紀と過ごした時間のほうが圧倒的に長い。

「よければ、付き合うに到った経緯と、別れた理由などを教えてくれませんか?」

「お。過去編だね。いいよ。私と元ダーリンが突き合ってた頃の話をしちゃうよ」

「危ない誤字をするな」

俺のツッコミを境に、傍芽は語る。
俺と傍芽の過去を。


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