第六話-6
「魁さん。目の前にふたつの選択肢があります」
「うん?」
なんだ突然。
「ひとつは、空腹を満たすために私の手料理を食べる」
「おぉ」
素晴らしい選択肢じゃないか。
「もうひとつは、私との仲を進展させる。どっちを選びますか?」
「どっちって……ギャルゲーじゃあるまいし」
選択肢によって仲が進展したりしなかったりするのかよ。
「みっつめ。お兄さまが私とお風呂に入る」
「なに勝手に選択肢増やしてるんですか!」
「なまら、名言を教えてあげる。人生の選択肢は、無限だ」
「今に限ってはふたつです!」
ロリコンではないけど、愛とお風呂というのも魅力的だよな。
ううむ……。
選択肢1・優紀の手料理→ノーマルエンド。
選択肢2・優紀との仲進展→ハッピーエンド。
選択肢3・愛とお風呂→変態エンド。
「って考えるまでもなく優紀との仲を進展させるに決まってるだろ!」
これでも恋愛小説なんだからな!
「で、具体的にどう進展するわけ?」
「魁さん。小田原魁さん」
聞くと、優紀は途端に真剣な表情になる。
「な、なんでしょう」
「私と、心中を前提に友達になってください」
エンディングが見えた。
きっとハッピーでもバッドでもなく、デッドエンドだぜ。
(第六話 終)