第六話-2
「ともあれ。魁くんとの仲が続いているようで何よりだよ」
続いてるだけで進展はしてないけどな。
もう六話なのに……。
「はい。今は魁さんの部屋に寝泊まりさせてもらっています」
「そうかそうか、魁くんの部屋に……おらどーゆーこった!?付きおうとるんか!?われぇ付きおうとるんか!?」
「だからいちいちキレんな」
「そうですよ。それに私たち、恋人じゃありません。あり得ません。あり得ません」
二度も言わなくてもいいじゃない死にたくなる。
「まぁそのことはあとでじっくり聞くとして」
杏子の視線が観音へと向く。
「君の髪はとても綺麗な色をしているね」
そう言って観音に近付く杏子。
「待て。観音に近付くな」
「にゃんでだよー」
「魁さま……ぽっ」
ぽっ、とか言ってんじゃねー。
「観音気をつけろ。杏子はこう見えても変態なんだ」
「ありがとう魁くん。まさか君に褒めてもらえるなんて」
「褒めてねーよ」
お約束か!
『褒めてない』というお約束の言葉を言わせたかっただけだろ!
「それで、君の名前は?」
「あ、はい。飛沫観音と申します」
「観音くん。魁くんとは、どういう関係なの?」
「許嫁ですわ」
「魁くん……いっぺん、死んでみる?(能登声)」
能登声ってなんだ能登声って。
「まさか観音くんもここで暮らしてるのかな?」
「もちろんですわ」
「よかったね。これが官能小説じゃなくて」
「?」
メタなこと言ってんじゃねーよ。
「で、君は?」
「私、ハーモニー!マミーとパピーの子どもなの!」
「…………」
いや、たしかにそうだけど。
間違いなんて全然ないんだけれど!
「魁くんと優紀くんが結婚して、もうこんなに経つんだね……大きくなったね、ハーモニーちゃん」
「変な設定を作るな」
「ジョーダンにゃー」
「にゃんさんでも、そういうふざけた冗談はやめてください」
優紀が笑いながら怒っていた。
さっきから俺の精神がズタボロにやられてるんだけど……。
「それで?」
「拾い子なんですよ。ゴミステーションに捨てられているのを発見して、一時的に預かっているんです」
「なんだあまりの可愛さに魁くんが誘拐してきたのかと思ってたよ」
「人をロリコンみたいに言うのはやめろ」