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ゆうき!
【青春 恋愛小説】

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第五話-1

結城優紀。
十七歳、彼女候補、腐女子、自称ヤンデレ、自殺未遂の少女。
ハーモニーちゃん。
九歳、外国人、ハイスペック(ボケが)、捨てられていた幼女。
この二人が何者かに誘拐されたと観音から連絡があり、一時間が経過していた。
事情を説明せず、予定も確認せず、たまたま遊びに来ていた傍芽に留守を任せて家を飛び出した次第だ。
自転車に跨がり、ようやく遊園地に到着した頃には午後一時半になっていた。
入り口の所でそわそわしている観音を見つけ、声をかける。

「観音!」

「魁さま!あの、優紀さんとハーちゃん、拐われて……!」

「わかってるから落ち着け!」

両肩を押さえてなんとか落ち着かせる。

「警察には連絡したんだよな?」

「は、はい。ですが、犯人がどこに逃げたのかわからなくて……」

「車は?特徴とかナンバーとか」

「あ、その、車で逃げたかどうかすら、わかっていなくてですね……」

「? 詳しく話してくれ」

誘拐されて暢気に話を聞いている場合でもないが、情報が少なすぎる。

「はい。その……」

事の発端はこうだった。
遊園地には当然ながら様々なアトラクションがあるわけだが、ハーモニーちゃんがものの数時間で飽きてしまったらしい。待ち時間が長いからだろう。
で、仕方ないから帰ろうかと思った矢先、ハーモニーちゃんが空腹を訴えた。
園内で食べていこうと提案した優紀に対し、観音がいい店を知っていると言い、優紀から携帯電話を借りて(観音、ついでにハーモニーちゃんは携帯電話を持っていない)その店に予約の電話をしようとしたんだとか。
そして事は起きた。
観音が少し離れた位置で電話をかけていると(ハーモニーちゃんが騒いでいたため)、優紀たちにいかにもな怪しい男たちが近寄ってきたらしい。
人数は六人。
彼らは人目も憚らず母さんに暴行を加え、優紀とハーモニーちゃんを抱えて連れ去ったのだとか。
母さんは病院に搬送されたらしいが、怪我の程度まではわからないと観音は言う。
突然のことで困惑していただろうし、駆けつけた救急隊員に何か聞かれたり言われたりしていても、頭に入ってこなかったのだろう。


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