第五話-6
「ハーちゃん?きょーとって、京の都の京都ですの?」
「うん。そうどすえ」
京都弁……だと?
ほんとハイスペックだよな。
「京都料理……京料理、ということですの?」
「うん。豚の角煮!」
「あの、ハーモニーちゃん。豚の角煮は京料理じゃないと思いますよ?」
それ以前に九歳児が作れる代物なのか?
俺も作れないってのに。
もしハーモニーちゃんが豚の角煮を作れるなら、今すぐハーモニーちゃんと結婚の約束をしておくか。
「ハーちゃん。無難なところで、カレーライスなんていかがです?」
「うん。グッバイ!カレーライス!」
さよならしてどうすんだよ。
「でも私、ルーの作り方わかんない」
「そこはレトルトで大丈夫ですよ」
「ルーイの作り方もわかんない」
「とりあえずボンバーマンでもしててください」
「ルイージのそんざいいぎもわかんない」
「ルイージに謝ってください」
「ルイージマンションってくそげーだよね!」
「ハーモニーちゃん。とりあえず黙りましょうね」
ルイージマンションってクソゲーなの?
俺はやったことないけど、見た感じ結構おもしろそうなんだけどな。
「にゃっほー」
「…………」
唐突に一人の人物が現れた。
「にゃんさん。おかえりなさい」
というか星渡杏子だった。
「ただいまー。これおみやげだーにゃ」
『白い恋人』と書かれた包みをテーブルの上に置く杏子。
たしか北海道の……いや、それはどうでもよくて。
「なまら、こんにちは。立川愛(たちかわ・あい)よ」
杏子の隣に、見覚えのある銀髪少女が立っていた。
(第五話 終)