第五話-5
「お母さまは、エステに行くと言っていましたわ」
エステ……。
いい年こいてエステって。
「ユーキ。悪いこと、したの?」
何にも知らないハーモニーちゃんが、謝る優紀を不思議そうに見上げる。
「ほうきょーしゅじゅつ、したとか?」
「してませんよ。悪いことでもないですし」
「ほうけーしゅじゅつ?」
「ハーモニーちゃん。なんでそんな言葉知ってるんですか……」
じろりと優紀に睨まれる。
いや、睨まれても困る。
「じゅじゅつ(呪術)で人を呪い殺したの?」
「そもそも呪術使えません」
「じゅうじゅつ(柔術)で?」
「それも違います」
「わはは、このない胸め!」
ばちこん!
優紀がハーモニーちゃんの頭を叩いた。
「優紀さん。子どもに手をあげるなんて、何を考えていますの」
「そんなんだから、魁を私に寝盗られちゃうんだよ」
そこ、記憶を捏造するな。
お前とは色んな意味で寝てないだろ。
「うぅ……ユーキがぶった!まな板のくせに!」
「うるさいですよぺたんこハーモニーちゃん」
大人げないなぁ。
というか。ハーモニーちゃんはまだ九歳なんだし、ぺたんこなのが普通だろ。
「ハタメー!おっぱいアタックしろー!」
ハーモニーちゃんが傍芽の服を脱がせようとする。
「ちょっとハーモニーちゃん!ダーリンの前でおっぱい見せたら襲われる!」
襲わねーよ。
「なぁ。誰でもいいから何か作ってくれ。腹減った」
朝、というか昼間にトースト一枚食べただけで、今日の朝食と昨日の夕食を逃しているのだ。
それに成長期だし、腹も減る。
「ダーリン。どうせ作るなら「お前は黙ってろ」
おかしなことを言いかねない傍芽の言葉を遮る。
「私が作るー!」
「ハーモニーちゃん。料理できるんですか?」
「うん。私の味を、みんなの舌に響かせてあげる!」
ハーモニーだけにってか。
なに上手いこと言ってんのこの子。
「で」
用事があるからという理由で傍芽が帰り、優紀と観音が見守る中、ハーモニーちゃんは料理を始めた。
「何を作るんですか?」
「食べれるもの!」
「それはそうですけど」
「そうだ!キョートを作ろう!」
またわけのわからないことを言いやがりましたよ、この幼女。