第四話-4
「ユーキ。おっぱい出る?」
「もうそんな歳じゃないよね、ハーモニーちゃん。喧嘩売ってます?」
「ハーモニーちゃん。このお姉ちゃんは怒ると怖いから、怒らせたらダメだよ」
ハーモニーちゃんは素直にわかりました、と頷いた。
「子どもは素直で可愛いな」
「ロリコン」
「なんでだよ!?」
ロリコンっていうのは小さい女の子に欲情する変態さんのことを言うんだぜ。
「カイはロリコンなの?」
「お前のせいでハーモニーちゃんが変な言葉を覚えた!」
「カイはショタコンなの?」
「違うよ」
「カイはラジコンなの?」
「人間だよ」
「カイは壊れかけのradioなの?」
「だから人間だって」
何この子。子どもの癖にハイスペック。
「ハーモニーちゃんは何歳なんですか?」
「レディに対して失礼だと思わないのか」
ツッコミもハイスペックなハーモニーちゃん。
「私はナインです」
ナイン……九歳か。
「CPナインです」
「それは関係ないよね」
「おっぱいないんです」
「その歳で発育してるほうがすごいよ」
「ユーキもないんです」
「黙りましょうね、ハーモニーちゃん」
最後のツッコミは優紀。
心なしかわなわなと震えている気がする。
「自分の家、どこにあるかわかりますか?」
「うん。地球上のどこか」
「そうですね。日本ですか?」
「ユーキ、イズ、ジャパン!」
優紀は日本そのものだったのか。
つまりぺたんこは日本の象徴と。
「アイ、アム、ノブナガ・オダ!」
「ふむふむ」
「フィーチャーから、やってきた!」
そこはせめて過去からで頼む。
歴史上の人物が実は未来人だったとか、大発見じゃないか。
「ハーモニーちゃん。お母さんとお父さんは?なにしてる人なんですか?」
「ホワイトな粉を売る人」
「…………」
聞いてはいけないことを聞いてしまった気がした。
ホワイトな粉。
白い粉。
……まさかね。
「シュガー」
小麦粉とかそういうオチかと思ったら砂糖かよ!
あれが粉かどうかはともかく。
「日本に住んでるのかな?」
「ううん。もういない……デッド」
「…………」
今度こそ聞いてはいけないことのようだった。