第四話-3
「ずっとは無理でも、しばらくうちで保護できるように取り計らってみるわ。飛沫さんの力も借りて」
飛沫?
そういえばあいつ、自分のことお嬢様とか言ってたけど、もしかして金持ちなのか?
「それが無理でも、あんたの力でなんとかなるでしょ」
「いや、俺にそんな権限はない」
「何言ってるの。なんだっけ、ほら……そうそう。たしか主人公補正ってやつ」
「…………」
我が母親ながら何言ってんだこの人。
「電話しておくから、あとで下に連れてきなさいよ」
「ああ。任せた」
***
布団で二人の女の子が眠っていた。
というか優紀とさっきの女の子である。
「起きろ!」
一緒になって寝てどうすんだよ。
「あ、おはようパピー」
「誰がパピーだ!お前幼児化してるぞ!」
「なっ!?誰の胸が幼児ですか!?」
そんなこと一言も言ってない。
言いがかりだ。
「で、名前は聞き出せたのか?」
「はい。なんとか。たしか、スケープ・ゴートちゃん」
「それは遊戯王の速攻魔法カードだ」
「ジョークですよジョーク。優紀だけに遊戯ジョーク」
あんまり上手くねーよ。
ともかく。
「名前は?」
「ハーモニーちゃん、だそうです。やっぱり外国の子なんですよ」
「にしては見た目や言語は日本人だよな……」
「日本で暮らしてるからでは?」
ああ、そっか。
いくら外国人だろうと、日本で暮らしてれば自然と日本語を覚えるよな。
観音と同じでハーフなのだとしたら、日系でもおかしくないし。
「そういやこの子、ハーモニーちゃん。学校はどこなんだろうな?」
「小学校じゃないですか?」
いや、そういうことじゃなくて。
どこの小学校かってことに決まってるだろ。
中学生には見えないし。
「ん……」
「あ、起きたみたいです」
見りゃわかるよ。
「マミー……ご飯……」
またこのパターンかよ!
「寝起きが悪いみたいですね」
そんなわけで数分後。
「もうモーニングだったなんて」
「モーニングどころかアフタヌーンですよ、ハーモニーちゃん」
「まさか私がモーニングな娘だったなんて」
「モー娘。は解散しましたよ、ハーモニーちゃん」
解散してねーよ。
モー娘。と全国のファンに謝れ。