第四話-2
「というかこの子、マミーとかパピーとか言ってますけど、外国の子なんですかね?」
「どうだろ……」
髪も黒いし、日本人にしか見えないけど……。
日系外国人というやつかな。
「なんでやねん。うち、日本人やで」
「いきなりの関西弁!?」
思わずツッコんでしまった。
「カイ、おもしろい」
子どもに遊ばれた。
泣けてきたぜ。
「ネーム……ねーむい……」
「魁さん。この子、すごくユーモアのある子ですね」
「関心してる場合か。何をするにしても、まずは名前を聞きださなきゃ始まらないだろ」
「それはそうですけど……」
再び眠りにつこうとしている女の子。どうやら本気で眠たいらしい。
「危機感ないなぁ……」
子どもだし仕方ないのかな。
なんて冗談言ってると、階下からただいまー、と母さんの声がした。
「…………」
優紀の(ぺたんこな)胸で再び眠っている女の子。
「優紀。その子頼んだ」
「え?まさか脅迫の電話をするんですか?身代金はいくら要求するつもりなんです?」
「身代金を要求する気も脅迫電話をする気もない。そもそも番号を知らない」
母さんに事情を説明するだけである。
いや、『だけ』で済めばの話だけど。
「目を覚ましたら、今度こそ名前を聞いといてくれよ」
「わかりました。任されます」
***
「…………」
女の子のことを話し終えると、母さんは黙りこんだ。
「……あんた。死んだ父さんみたいね」
「父さん死んでないって」
今頃会社で働いてるよ!
「父さんもね、生前は色んなトラブルに巻き込まれていたわ」
生前って。
死んでないというに。
「そんな話初耳だけど」
「だって今考えたもの」
作り話かよ!
シリアスなシーンだろここは!
冗談とか言っちゃダメ!
「当然警察に連絡するけどね。でもあんた。みすみすその子を帰す気はないんでしょ?」
全てお見通しですか。
母△(かあさんかっけえ)
「なんでわかるんだよ」
「何百年あんたの母親やってると思ってんのよ」
「十七年だろ」
何百年って。
そんなに生きられねーよ。
「あんた、顔見られちゃってるしね」
「ああ。だから生きて帰すわけには……って違う」
なんで母親と漫才せなあかんのだ。