第二話-1
にゃあにゃあ。
わんわん。
俺の家には合計20匹を超える動物たちがいる。
みんな捨てられていた動物たちだ。
「相変わらずすごいですね」
彼女が家に来るのは、何も初めてではない。
たまに会っていたのは前述のとおりだが、その中で俺や彼女の家に遊びに行くこともあった。
「タマ、トラ、モモ、クロ。元気してたか」
「この猫ちゃんたち、そんなどこかの三丁目にいそうな名前でしたっけ」
「いや、全然違う」
「ですよね。まだ覚えきれてないですけど」
さて。
場を和ませたところで本題だ。
「この段ボールの山はなんだ!?」
つい先ほど、彼女の不思議発言の後に帰宅し部屋へ入ると、ざっと数えて十個ほどの段ボールが積み重ねられていたというわけだ。
「大丈夫ですよ。ご両親の承諾は得ています」
「なんていう手際の良さ!一体いつの間に!?」
「私のことを幸せにしてくれるって言いましたよね……?」
それを言われると弱い。
恐るべしヤンデレ。ヤンチャ過ぎだ!
「ちなみににゃんさんの許可は得ていません」
「いや、あいつはただの居候なんだから、別にあいつに許可を取る必要はないよ」
彼女が言うところの『にゃんさん』とは、うちに居候しているちょっと変わった人のことである。
居候と言っても、家にいることは滅多にないんだけど。
「ちょっとイギリスに行ってくる」
なんて言って半年帰ってこなかった時もあるほどに、あいつは自由人なんだよな。
猫のように。
たまにしか遊びに来ていなかった彼女があいつに会えたのは、もはや奇跡と言えるだろう。
「にゃんこ先生の許可も得ていません」
「うちにそんなのはいない!」
ともかく。
両親の許可を得ている以上、彼女を追い出すわけにもいくまい。
側にいろって言ってしまったし。
幸せにするって言ってしまったし。
「ところで優紀」
「なんですか?」
「なんでお前の荷物が俺の部屋にあるわけ?」
「決まってるじゃないですか。私は、この部屋で寝泊まりするんですよ?」
「…………」
それは精神衛生上よろしくない。
俺だって男なのだから、同い年の女子と同じ部屋で眠るというのは……ううむ。