第二話-7
「あっはっはっ。あったぞ。傍芽に関する雑学!」
「ほほう。では披露してもらいましょう」
こほん。咳払い。
「六郷傍芽。六郷なだけにご飯は毎回『六合』食べるそうな」
「いや、あの、それ雑学というかただの駄洒落ですよね?」
「他にもあるぞ。傍芽はそもそも六つの故郷の傍に芽が咲いたと書くんだが」
「六つも故郷があるんですか?」
「書くんだが!」
彼女の、優紀の天然発言を黙らせる。
「姉の名前は六郷天芽(ろくごう・あまめ)というらしい。六つの故郷にある天の芽というわけだ」
「誇らしげに語ってもらって悪いんですけど」
「なんだ?」
「意味がわからないうえに『で?』って感じです」
馬鹿な!?
天の芽が六つもあるんだぞ!?
さながら六体の精霊がごとく、故郷を守っているに違いない!
「それはともかくですね」
「ともかくで済ますな!」
「今夜は一緒の布団で寝ましょうね?」
にこりと微笑む優紀。
小悪魔ここに現る。
(第二話 終)