ざわめく胸-2
『でもさぁ』
それはそう
何気ない一言だったんだろう
『意外と展開早いよね〜』
『え?』
『優って内気だからさ、1ヶ月ちょいでもう受け入れられるとか、ちょっとビックリした』
『………』
『実はそういうの好きだったの?な〜んて…』
『違うよっ』
言い切るまえに遮るように否定した自分の声が大きくて
奈緒ちゃんは驚いた様子で言った
『…ごめん、冗談きつかったかな?』
『う、ううん…私こそごめんね…なんか恥ずかしくってさ〜』
どうにか平静を装い笑う私
そっか、と笑顔を返してくれる奈緒ちゃんにホッと胸をなでおろした
先程の彼女の言葉
一瞬、過去の記憶が蘇ってつい声をあらげてしまった
けれど
あんなにも忌々しい記憶、知られてはいけない
軽蔑、されてしまうから…