君をマジで殺したい-7
「茂のこと……、忘れさせて……」
俺が死んだってのに、芽衣子は俺の存在を頭の中から消そうとしていた。
呆然と立ち尽くす俺に、園田が無言でポンと肩を叩き、申請書とボールペンを差し出してきた。
しかし俺はフルフルと首を横に振って、園田の手から申請書をはたき落とした。
何かの間違いだ。
芽衣子は俺を愛しているんだ。
きっと久留米に俺の姿を重ねて、悲しみを和らげるためにそんなことを言ってるんだ。
多分、ヤってる最中に俺の名前をうわごとのように呼ぶはずだ。
今、目の前で繰り広げられている光景を認めたくなくて、なんとか安心できる材料を探そうとする。
……でも、このまま二人の成り行きを見届け、芽衣子の真意を確かめるのは辛すぎだ。
俺はスクッと立ち上がると、
「園田……、お前このままここにいて、芽衣子が俺のこと本当に忘れたがっているのか確かめてくれ。
俺は外で待ってるから」
と、力無く奴の肩をポンと叩いた。
「え!? それって二人のアレを見届けろってことですか?
嫌です嫌です、なんでそんな変態みたいな真似しなきゃいけないんですか!」
園田は顔を真っ赤にして、俺の頼みを断ってきたが、それすらまともに耳に入らなかった。
「頼んだぞ」
俺はそれだけ言い残すと、静かに部屋を出た。