君をマジで殺したい-5
……あの時のアレ?
以前芽衣子の浮気が発覚したとき、相手はキャバクラに来る客だと彼女は言っていた。
俺の知りうる限りでは、芽衣子の浮気は後にも先にもそれ一回だったはずだ。
しかし久留米は、まるで芽衣子とヤったようなものの言い方をしている。
……ということは、あの時の芽衣子の浮気相手は、キャバクラの客なんかじゃなく、久留米だったのか?
裏切られた気持ちが一気に込み上げてきて、ギリッと奥歯を噛み締めた。
「おいコラ! お前ら二人して俺を騙してたんだな!」
俺は怒りのあまり、ひっついてる二人に飛びかかろうとした。
しかし、園田が慌てて後ろから俺を羽交い締めにする。
「触ったらダメですってば!
それに声も聞こえるわけがないし、あなたの想いなんてもう有野さんには届かないんですよ!」
園田は一生懸命俺を宥めたが、“もう、想いが届かない”なんて言われたことがやけに耳に残って、力が抜けたようにその場にペタンと座り込んでしまった。
その時、やっと自分が死んだ実感が湧いた。
そうだ、俺は今まで当たり前に芽衣子にしてたことがもうできなくなってしまったのだ。
今、久留米がしてるみたいに芽衣子の肩を抱いてやることも、芽衣子の少しコシの強い髪を撫でることも、もうできない。
もう芽衣子にキスすることも、服の上から大きな柔らかい胸に触ることも、今芽衣子が着てるTシャツの裾の中に手を伸ばすことも……ってあれ?