第2話-6
そう言われて、ヨシナガが選んだのは、とりわけ可愛い顔立ちの女性だった。
「この子にします。あのアイドルのレナちゃんに似ている」
「なかなか良い物を選びますね。注文でレナに似た子を、作ってくれとの要望があり、我が社でも、製造に随分時間の掛かった物でもあります」
タナカは、WBを使い、工場設備の要員を呼び、眠っているアンドロイドを、起こすように呼びかける。
「でも...良いのですか?お客様に提供する物を勝手に使わせてもらって?」
「車でも、テストドライバーがいるでしょう?我が社も、あらかじめ製品を出荷させる前には、女性器や、男性器の機能を確認する為に感度のチェックとかをこまめに行います。もちろん使用した後は培養液に入れて未使用前の状態へと戻します。そうしてお客様の所へと出荷します。しかし...性器のチェックは、最初はうちの社員がしていましたが、だんだん嫌気がしてきて、最近はバイトなどを雇う様になって来ているのです。それでも足りない位で困っているのです」
工場で働いている従業員達が来て、ガラス製のパネルに入ったアンドロイドを取り出す。
「では、準備を行いますので、ベッドルームでお待ち下さい」
従業員の1人がヨシナガを工場にあるベッドルームへと案内をする。工場の奥にあるピンク色に塗られた壁の一室へと連れて来られた。
少し離れた場所にベッドルームを見下ろす感じに設置してある小さな機械室があった。その室内に数名の従業員と一緒にタナカがいた。彼はこれから行われるヨシナガのプレイを見届けようとしていた。
そんな時、部屋のドアが開き、ミヤギが入って来た。
「会長...ここにいたのですか?」
「ああ...」
「これから自分はオダ・シンに接触しようと思います。もし...彼の近くにアリサが居た場合、機能停止や解体を行っても構いませんか?」
「最悪の場合は止む得ない...。ただし...最前のやり方で捉える事を優先して欲しい。今は、それだけ伝えておく」
「分かりました」
ミヤギはそう返事をすると、ベッドルームに居るヨシナガを見る。
「刑事の方に、プレイの相手をさせるのですか?」
「たまには公務員の方にも、肩の力を抜いて快楽に酔ってもらうの良いかと思ってな」
「そうですか...」
ミヤギは、それ以上何も言わず「出掛けて行きます」と、言って部屋を出て行く。
ヨシナガは、1人ベッドの上で待っていると、WBが鳴り響く。クロダからだった。
「ヨシナガさん...今、どちらにいるのですか?既にこっちは連絡が終了してます」
「わ...分かった。私も後で署に向かうから、君は先に戻っていてくれ」
「かしこまりました」
そう言って、クロダは連絡を切る。
部下との連絡が終える頃、ドアが開き白い浴衣姿に身を包んだレナに似た若い女性が入って来た。黒く長いしなやかな髪を垂らし、少女の様にあどけない顔立ちをした、背丈のある女性が、スタスタと腰をくねらせながらヨシナガへと近付いて来る。
「こんにちは。ヨシナガ様、私を選んでくれて有り難うね...一緒にとろける様な思いを楽しみましょう」
レナは、そう言って優しくヨシナガの顔を撫でる。
「よく私の名前を知っているね」
「ユミからの情報伝達を受け取ったのよ...頑張り屋の刑事さんだけど、今は私の事だけ考えてね」
そう言ってレナは、ヨシナガに顔を近付ける。そのしぐさは、もはや普通の女性とも見間違える程だった。レナはヨシナガの唇に自分の唇を重ねる。柔らかい唇の感触が感じられる。
ふとヨシナガは、目線を下へと向ける。浴衣の上半身の谷間に目を向けると、大きな膨らみが2つ見えた。彼は浴衣の上からその膨らみに両手を押し当てると、ムニュッと柔らかく暖かみのある感触を掌で感じ取った。
「あぁん...」
レナは、身をくねらせる。ヨシナガは柔らかみのある乳房を揉み続けた。
抵抗をしないレナは、次第にヨシナガの行為に全身で受け止める様に、ベッドの上で仰向けに横たわる。
(これが作り物なのか?アンドロイドと言われなければ、普通の女性そのものだ...)
ヨシナガは、結婚してから自分妻だけに生きて来た。20代の頃は、よく飲み屋とかに行き、接待でキャバクラとかに行った事はあるが、今...目の前にいるレナを見ると、女性の身体と言うのをほとんど忘れかけていた気がした。
ヨシナガは、レナの浴衣を脱がせる。レナもヨシナガの衣服を脱がせる。ネクタイの紐を解き、ワイシャツのボタンを外す。
「これは勲章ね」
ヨシナガの右腕の包帯をレナは軽く撫でる。それを見たヨシナガは、フッと微笑む。
ヨシナガはレナの身体をマジマジと見た。きめ細かい白く柔らかい肌、大きく膨らんだ胸。下半身に目を向けると、白い純白のショーツがあり、その下に女性の秘部が隠されている。
先程タナカ会長の話で、過去に1人で10体購入した人がいると言う話を聞いて、その理由が分かる気がして来た。これなら何体購入しても決して苦にならない。購入したアンドロイドは全て自分だけの物になる...普通の女性は浮気などするが、アンドロイドは浮気等しない主人に一途だから...。生涯のパートナーが金で買える、ある意味...凄く安い買い物かもしれない。
「私は君が欲しいよレナ...。幾らで君を買えるかな?」
「おねだりさんね。私はもう売約済みよ。会社に同じ製品としてオーダーするしかないわね」
「幾ら位掛かるんだね?」
「まあ...1500〜3000万円位かしら?」