七-2
紳一はつぐみの皮膚の隅々までを愛撫して、下ぶくれの乳房を吸い搾り、触りの良い尻の量を確かめていく。
男女の営みにはあまり免疫のないつぐみであったが、その体は愛撫にまみれて先走っていた。
紳一の指がつぐみの臍(へそ)を掘り、子を授かるためのそこへ合図を送る。
そこから腹を下っていったその先に、いちばん触りたい場所がある。
紳一はずる賢く手を先へ進めて、妙に濡れた姫穴を触ってみる。
男を夢中にさせる触り心地だった。
その愛汁に浸れば、病んだ枯れ木も精気を吹き返すに違いないと紳一は思った。
「森咲先生」
「いやです。今だけ、つぐみと呼んでください……」
つぐみの声は震えていた。
「つぐみ。君の名がつぐみなら、僕の名前も呼んで欲しい」
「紳一さん、いくらでも抱いてください……」
息継ぎもままならないつぐみは、鼻にかかった吐息を六畳間に吹いていた。
こんなに花盛りのお嬢さんなら、自分の恥部を人目にさらすのは惜しいはずだ。
それなのに何一つ隠さず僕に差し出している。
君がその気なら、僕もその気になろう──。
下がりかけた熱がまたぶり返したのか、あるいはつぐみを思う熱なのか。紳一の肌の熱さがつぐみに移っていく。
「あなたの人肌を、私の中で結んでください……」
それは挿入をねだるつぐみの声色であった。
寝床で受け身になっているのは、女学校の女教師ではなく、一人の女だった。
紳一はつぐみの両脚を高く持ち上げて、さらにつぐみの胸のあたりにまで折りたたんだ。
経験の乏しさを窺わせる色の良い雌花がそこにあった。
紅い割れ目から半透明の液が滲み出ている。
「もったいない」
紳一はつぐみのそこへ口をもっていった。
「ああっ……だめです……ああ……」
口先に押された陰唇が微かに沈むと、すぐに互いをはね返した。
ともすればそこは淫らな糸を引き、紳一の口に膜をはった。
甘美な潮気がいつまでも舌に残る。
さらにつぐみの股間を頬張り、鼻先で陰核を突きながら、愛汁に吸いついて呑み込んだ。
異常な行為と知ってやっているのだから、紳一も我を忘れ、つぐみもこだわりを捨てた。
もう前戯はいらない。
絶頂が欲しい──。
つぐみが念じたとき、紳一に腰を強く引きつけられて、一瞬だけ肢体が浮いた。
そのまま肉体に包み込まれるように紳一と密着し、彼の頼もしい体つきに今更うっとりした。
紳一が腰を浮かせて、つぐみも彼にならう。
どちらも気持ちは満ちていた。
紳一がつぐみの体を下から突き上げる。
しぜんにまかせた成れの果てであった。
「はあう……はあん……」
つぐみは女々しく喘いだ。ざわっと鳥肌が立ち、体中の産毛も白く逆立っている。
足の裏を天井に向けて蹴飛ばし、膣内を打って掻きまわす陰茎の出入りを許している。
「ああ……んく……うん……ふん……」
深く突かれれば深い吐息を、浅く突かれれば浅い吐息を漏らした。
つぐみの潮が派手に飛び散って、ますます寝床を汚していく。
きっと体の相性がいいのだろう。つぐみは子宮を壊されそうな威力に抗うことなく、絶頂まで逝くつもりでいた。
気絶しそうな快感の中で、つぐみは紳一にしがみついて奥歯を噛んだ。
限界が迫っている。快感の産物が排泄されようとしている。
紳一はなけなしの精力を一滴残らず使い果たそうと、つぐみの花びらを散らすほど腰をしならせた。
紳一の意識が朦朧としている。それでも萎えることのない自分自身を姫穴に詰め込み、二人の呼吸を合わせて腰を前後に揺すった。
つぐみは手を開いて結んで、意識のやり場を求めて最期の喘ぎを見せている。
そうしてつぐみは逝き果てた。
大人しそうなつぐみからは想像できないほど、つなぎ目が痙攣をくり返している。
その膣圧が紳一の陰茎を締めつけると、あっけなく堰を切られて、膣の天井に向かって精液を吹き上げた。
それは小便を出すのとおなじ要領で、すっきりするまで出し尽くした。
しだいに萎んでいくいちもつは、しまいにはつぐみの体から抜け落ちて、ようやくそこから精液が逃げ出して垂れた。
ここから命がはじまるのだと思うと、紳一は責任を感じずにはいられなかった。
つぐみの興奮が落ち着きを見せた頃、彼女はその場にすくっと起き上がった。
しとやかな仕草で乳房と下腹部を隠して、乱れた髪に手ぐしを通すあたりは、さすがに大人を感じた。
つぐみは一つ、深呼吸をした。
そして紳一の懐に寄り添い、交合の余韻に浸る時間をいたずらに過ごした。