君と共に逝きたい-8
成仏に期限をつけられ、ペナルティを課されるのは、どうやら人間だけらしい。
不公平じゃねえか、と園田に食ってかかったが、奴は、
「そうは言ったって、そもそもあなた方人間が、生まれ変わりにまであーだこーだ口を挟むから、こんなシステムができたんですよ。
人間以外の全ての生き物は、死を受け入れ、生まれ変わりを文句一つ言わず受け入れてくれます。
ホント、人間なんかよりよっぽど尊い存在ですよ」
と、反論した。
元々は、全ての生き物はその一生を終えた時に、成仏促進機構のコンピューターでランダムに決定される次の命を当然のものとして受け入れてきた。
それを俺達人間が、来世にまで口を挟むものだから、こんな歪なシステムが取り入れられることになったらしい。
そんなこんなで、ある程度の生まれ変わりを自分で選べるようになった人間だが、中には当然、次は鳥になって空を飛びたいとか、木になって静かに暮らしたいとか言い出す人もいた。
「人間にとっても生き辛い世の中らしいですからね。
静かに生きたい人が増えてるんですよ」
と、園田は言っていた。
そういう人はある程度成仏の手続きの日にちをのばして、自分のなりたいランクまで落ちた所を見計らって成仏すればいいわけだ。
だが、希望通りの動物になれるかと訊かれたら、その答えは“否”である。
例えば、空を飛びたいと、鳥類ランクに下がった所で成仏しても、ペンギンや鶏に生まれ変わる可能性だってある。
また、何らかのミスで鳥類になりたかった死者が爬虫類ランクの所で成仏してしまったとしても、鳥類よりもはるかに強いワニなんかに生まれ変われる一発逆転のチャンスだって十分あるのだ。