君と共に逝きたい-6
今度は芽衣子の方が限界に来たらしい。
アイツもアイツで浮気をしていたことが発覚した。
俺がいつものごとく、芽衣子に手をあげたら、そのままアパートを飛び出して帰って来なかったのである。
芽衣子の女友達は、俺が手をつけてしまったことにより絶縁状態になっているはずだから、男の所に行ったとしか考えられなかった。
次の日、気まずそうに帰ってきた芽衣子に問い詰めたら、キャバクラの常連客の所に行っていた、と白状した。
すっかり頭に血がのぼった俺は、二人がこのまま生きていっても決して幸せになれないと思い詰め、芽衣子に“別れてやるから最後のデートしよう”と言い、芽衣子の仕事が一段落ついた頃に休みを取らせ、このI岬に連れて来たのである。
そして嫌がる芽衣子を抱きすくめてそのまま断崖絶壁から飛び込んだ……というわけだ。
「あんな守るように抱きしめて飛び込んだから、彼女は死ななかったんですよ。
まあ、彼女はサラサラ死ぬつもりなんてなかったでしょうし、死にたかったのはあなただけみたいだからちょうどよかったんじゃないかな」
園田は淡々とまるで俺らの最期を見ていたかのように話している。
じゃあ、やっぱりコイツは本物の……。
「やっと信じてくれたみたいですね。
それでは手島茂さんのこれからの流れをご説明させてもらいますね」
と、俺の心を読み取ったかのような彼は、胸ポケットから黒い手帳を取り出すと、事務的な口調で話し始めた。