君と共に逝きたい-12
◇ ◇ ◇
「なあ、なんで電車に乗ってんだよ」
俺と園田は帰宅ラッシュの電車とは進行方向が逆の、上りの電車に乗り込んでいた。
ガラガラな電車の中だけど、俺達はやけに密着したように並んで腰掛けていた。
「死者とは言え、あなたは人間。空なんて飛べるわけないでしょ」
「だって映画とか本だと霊になったヤツらは大体空飛んでるじゃねえか」
「それはあなた達人間が勝手に都合よく作り上げたお話でしょ。
それをこちらに押し付けないでくれます?」
呆れた顔でこちらを見る園田の姿は、仕事を終えて疲れた体をなんとか奮い起こし、家路に向かうくたびれたサラリーマンの姿そのものだった。
なんとなく奴の悲壮感がこちらにまで伝染してきそうだったので、思わず立ち上がって吊革に掴まろうとした。
それを見ていた、憂いを帯びた中年天使は、
「ああ、ちなみに基本的に物には触れますが、無闇にいじったり壊したりしたら、成仏ポイントが下がっていきますからね」
と、念を押すような口調でそう言ってきた。