プロローグ-2
(もう、潮時かな)
女はジワリと涙を浮かべ、ベッドの上で曲げた膝の上に顔をうずめた。
友達には“そんなDV男サッサと別れなよ”と、何度となく言われていた。
でも、女にはそれがどうしてもできなかったのだ。
男は所謂“ヒモ”で、女が汗水垂らして働いた金で酒やギャンブル、あげくに別の女と遊ぶために使う最低の男だった。
男がそんな都合のいい金づるを手放すわけがなく、女もまた、男の“俺にはお前しかいないんだ”という甘い言葉で男から離れられずにいた。
いっそ、離れられないならお互い生まれ変わってから再び一緒になりたい、と女はよく考えるようになった。
(いっそのこと、アイツ殺してあたしも死んでやろうかな)
そんなことを考えたとき、テレビのキャピキャピした女子アナの、
「それでは可愛すぎる動物動画ランキング一位の発表です!」
と言う声が聞こえたので、女はなんとなしに顔を上げてテレビを見つめた。