赤い唇<前編>-9
そっと私の背をベッドにつけさせると、覆い被さるように龍二さんがうえになる。
仰向けにされた私がはしたなく両足を開くと、
その間を割るように龍二さんの身体がゆっくりと埋もれてきた。
「んんっ はあぁっ……ん」
自分でも驚くほどに甘い嬌声がこぼれ落ちる。
反り上がった先端が膣壁を擦るたび、突き上げるように奥を刺激されるたび、
龍二さんの一挙手一投足が、すべて私の快楽へと繋がっている気がする。
「加奈?今日は危ない日じゃなかったっけか?」
「ん、ごめんなさいっ だから中は……」
「……いちいち謝るなって言ってるだろ?」
「ご、ごめんな……あ、えとっ…… んんっ やぁっ もっとゆっくりっ……」
慌てる私を見て笑いながら腰を振る龍二さん。
こんな時に笑うなんて失礼しちゃう。
でも、最近やたらと龍二さんに笑顔が増えてきた気がして嬉しい。
もちろん、いつもの無愛想な龍二さんも嫌いじゃないんだけど、
やっぱり笑ってくれている方が嬉しいに決まっている。
「……どこがいい?」
「ど、どこでもっ んんっ」
「だからっ どこにでもなんて言ったら顔にぶっかけるぞっつってんだろ?」
私は聞き覚えのあるその言葉に少し笑ってしまった。
確かに、顔にかけるなんて女の私にとってはなんのメリットもない行為だ。
でも、男の人にとっては色々あるんだろうな。
征服感?汚したい真理?
その理由は人それぞれだろうけれど、
私は龍二さんが望むならなんだって受け入れてあげたい。
「やべっ イキそうっ」
「……か、かけていいよ?」
「あ?」
「龍二さんの精子…… んっ 加奈の顔に……かけてください……」
一瞬、ほんのわずかな時間だけ龍二さんが躊躇ったように見えた。
けれど、訪れる快楽に耐えきれなくなったのか、
すぐさま腰を抜いては私の身体を跨いだかと思うと、
右手で陰茎を擦りあげながら、勢いよく私の頬へとそれを吐き出していった。
「くっ 加奈ぁっ」
ドクドクと熱い精子が私の顔に浴びせられたかと思うと、
唇から顎を伝い、とろりと首筋へと流れ落ちていくのがわかる。
その瞬間、ふと、ぼんやりと目に映る龍二さんの顔に陰りが見えた。
やってしまった感?ちょっとした後悔?
私はくすりと笑いながら両手で龍二さんの腰を抑えると、
グッと手前に引き寄せては、舌で陰茎を口の中へと招き入れた。
「あ、ちょ…… くっ」
唇で陰茎を擦りながら、舌先で溢れる精子を綺麗に舐め取る私。
イったばかりは敏感になりすぎてて苦しいでしょ?
そんな意地悪なことを考えながら私は、にっこりと龍二さんを見て笑ってしまった。