序章-20
「があっ!……母さま!……ぐぐっ!」
「……ああっ!……伝一郎!伝一郎!……っんあ!」
髪を振り乱し、悦びの声をあげる菊代。再び火のついた肉欲の焔は十ニ年の歳月を経て、さらに勢いを増していた。
母の肉壁が陰茎を包み込み、襞が愛液とが相まって亀頭に絡み付く。思考はひと衝き毎に溶けて行き、本能だけが身体を支配する。
発情した獣のように、それ以外の事は頭から消え去っていた。
「あんっ!あんっ!あんっ!あんっ!……」
「はぁ!はぁ!……あああっ!」
徳利のような括れと丸く張りだした尻を眼下に、伝一郎は後背から母親を貫く。
すでに三度の射精により陰茎は痺れて感覚は薄くなっているが、それでも情欲は治まることを知らず、括れを掴んで尻肉を打ち続けた。
続けざまのわが子の責めを、菊代は欲望のまま受け止め、何度も何度も昇りつめる。
「……で、伝一郎!……っんあ!またくるっ!……いくっ!……」
「かあ!母さま!……」
母と子の目交わいと言う狂おしくも哀しい行為。
頼る者もなく、互いを心の拠り処として生きて来たと言う閉鎖的環境が、遂には母子を、人としての道を踏み外すに至らしめてしまった。
「……はぁ、はぁ……んっ……」
「はぁ、はぁ……母さま……」
夜通し続いていた情交は黎明近くになってようやく止んだ。
菊代と伝一郎は、裸で抱きしめ合うと泥のように眠った。
時に明治三十九年十月八日。菊代ニ十八歳、伝一郎十ニ歳だった。
夜も更けて辺りが静まり始める。外に人影もなく、街灯だけが存在を主張し、誰もが活動を休めて床に就こうとする頃。
「……っん!……くうんっ!……」
「ああ……母さま……」
一軒の屋敷から嬌音が漏れ始めた。母子による狂乱の宴が今宵も開けたのだ。
菊代の足が、伝一郎の顔を跨いだ。面前にある秘裂は、既にに濡れている。
尻の肉を両手で広げると、秘裂は大きく口を開いた。、蜜にまみれた花弁が誘っている。伝一郎は迷わず顔を近づけ、しゃぶりつくと、すぼめた舌先を花弁の奥へとこじ入れた。
「うぐっ!……んんっ!……」
膣内の敏感な部分を、舌がうねうねと這いまわる。菊代は思わず、咥えていた陰茎で戻しそうになった。
「膣内は……違うんだね……」
表面は苦味を伴い、中は酸味がかっている。伝一郎は色んなことが不思議でしょうがない。歪んだ愛に溺れながら、時折見せる好奇さは少年そのものだ。
「母さま……気持ちいい……」
口腔で怒張した陰茎の硬さを舌先に感じ取り、菊代は身体の芯が熱くなって行くのを覚えた。
「もう……いいわね……」
早くわが子の物で貫いて欲しい──そう思うと、唾液で光る陰茎を秘裂にあてがい、一気に根元まで呑み込んだ。