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「私、依田幸祐にあったよ。」
「マジ!?どこで?!いつ?!」
「昨日、公園で。」
昨日の出来事を話すと、真樹は驚きつつも
「それ依田くんファンの子知ったら、すごいことになるよ。」
「話変わるけどさ、やっぱ私だめかも。」
「だめって、なにが?」
「智史。最近熱が冷めたっていうか、最初から好きじゃないっていうか…。」
「ほんとに話変わるね。ってかそんなので付き合ってたの。」
「告白されたとき、好きじゃないっていったの。それでもいいから付き合ってっていわれて、そのうち好きになるかなぁ。とか思ったんだけどやっぱ無理だ。私、最低かな。」
「んー。でも、好きじゃないって言ったんだよね?」
「うん。」
「じゃ、しょうがないね。どうせ、まだ忘れられないんでしょ?初恋の彼のこと。」
「いつになったら、忘れられるんかな?もう、21だよ?」
「自分から会いに行っちゃえば?その彼、どこに住んでんの?」
「引っ越したのは、アメリカ。今は知らないけど。」
「はぁっ?!アメリカ?!」
「ほんと。信じられないよね。私、幸祐が引っ越すってしったの一週間前だよ?アメリカとかもうあえないじゃん。」
そうだ。幸祐はいつだっていきなり、変なことを言い出すんだ。
どうせ、そんなの嘘って思っても、幸祐はなんでも本当にしてしまうんだ。
「ごめん。…って幸祐?初恋の人って幸祐っていうの?」
小さくうなずく。
「ははっ。まさか、依田幸祐じゃないよね?名字は?」
「知らない。」
「え。何で知らないの?幼馴染でしょ?」
「家も知らないし。学校もちがかったの。公園で一緒に遊んでただけで。」
「そうなんだ。」
「うん。でも、あいつはちがう。あんな背高くないし。顔だって女の子みたいでかわいかったもん。」
真樹はどこかを見つめている。
「ん?真樹?どしたの?」
「佐奈。後ろ。」
後ろを振り返ると、そこには、依田幸祐がいた。