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花びら
【青春 恋愛小説】

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-5

映画を見て、家に帰る途中公園に寄った。
そんなときも、依田幸祐が気になって仕方なかった。

「依田幸祐かぁ。」

あの声がきれいだった。懐かしくなるような、優しい声。

「もう一回聞きたいな。あの声。」

「こんな暗いところで、一人でブランコ乗ってるなんて、振られた女みたいだな。」

聞き覚えのある声がした。懐かしい声。
驚いて振り返ると、そこには栗色で短い髪のきれいな顔立ちをした男が立っていた。

「よ…依田幸祐…?」

「俺の名前知ってんのか。怖ぇな。優輝って。」

「怖いって。てかなんで私の名前知ってるの?!」

「秘密。」

「はっ?」

「だから、秘密。教えない。」

ククッっと笑いながら彼は

「もう帰ったほうがいいぞ。7月だからって暗いのは暗いんだからな。」

「あ、う…うん。」

「じゃあなー。また紙くれよー。」

幼い声を出す彼に少しドキドキした。
そんな自分が分からなくて、歩く速度を速めた。

「なんであんな優しい声出すんだろ…。」

そしてその日は彼のことをずっと考えていた。
栗色の短い髪をきれいにセットして、少しつりあがった眉毛、きりっとした目に、きれいな鼻筋、小さい唇。外見は、皆が言うイケメンだが、少し怖そうな感じだった。

だけど、優しい無邪気な声。顔を崩して笑い、なぜか温かい、ほわほわした雰囲気を持つ彼が、不思議仕方なかった。

私は、いつの間にか眠っていた。


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