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智史と約束していた駅前のカフェに全力ダッシュでいくと、もうそこには智史がいた。
「ごめん!遅れた!」
「え?遅れてないよ?まだ2時58分だし。」
「うっそ!?」
驚きを隠せず、智史が持っていた携帯を奪い取り、時間を見ると
「マジだ!私の足はまだ衰えてないな!」
「さすが、50メートル記録保持者!」
「うっわ。それ小学校の話だから(笑)」
などと、智史と話していると、なぜか依田幸祐の名前が浮かんだ。
「そういえば、依田幸祐って知ってる?」
「あぁ、知ってるよ。あの女子人気がすごいやつだろ。」
「そんなに有名なんだ。」
「それがどしたの?」
「いやぁ。この前声だけ聞いて顔見なかったって真樹に言ったら、もったいねー。とかいってたからさ。」
「なんか妬けちゃうな。」
「あ、ごめん。」
そうか、やっぱり依田幸祐は人気なんだ。
顔見てみたいなー。見るだけでも。
「そうだ。映画見にいこ。あの犬のやつ。」
あのあと、映画を見に行った。
自分で誘ったくせに智史は寝てたけど。