決意表明-1
ついに僕も年貢を納めるときがきた。
いつの間にか時は過ぎ、
気づけば彼女と付き合って6年になる。
周りからもいつ結婚するのかとせかされている。
去年の5周年の時にもかなり外野からのプレッシャーが
すごかったけど、なんとなくありがちなタイミングでは言いたくなかった。
彼女の好きそうなデザインのリングもちゃんと用意したし、
彼女との思い出のレストランも予約した。
きっと、喜んでくれるはずとワクワクしながら今日を迎えた。
なんとなく、仕事も手に付かない感じだったが何とか一日を乗り切った。
待ち合わせはPM7:00に駅前…
ソワソワしながら彼女の来るのを待ってる。
彼女はいつも時間よりも早く来るのになかなか来ない…
「どうしたんだろう?」
時間ぎりぎりに彼女は浮かない顔でやってきた。
「遅れちゃったかな??」
「時間通りだよ。でも美雨がギリギリなんて珍しいね。」
「ごめん。いろいろたて込んでて…。」
「全然大丈夫。じゃあ行こっか?」
「…ん。」
なんとなく元気のない彼女が心配だったけど
取りあえずレストランに二人で向かった。
「いつも通り美味しかったね。」
美雨は嬉しそうにそう言った。
「渡したいものがあるんだけど…。」
僕はそういっておもむろに婚約指輪を差し出した。
『そろそろ結婚しよう。』
美雨は困った顔をして固まっていた。
「…迷惑だったかな?」
僕がそう切り出すと美雨は苦笑いしながら
「私、5周年の記念日に言ってくれるのを待ってたんだよ?」
「…あの時はあまりにも狙ったみたいでやだったんだよ。」
ぶっきらぼうに僕が言った。
「もう、遅いんだよ。悠のタイミングが去年じゃなかったように
今年は私のタイミングじゃない。今日は最初から別れ話をしにきたの。」
「…え??」僕は言葉を失った。
「去年言われなかったときから決めていたの。
今年の記念日に悠が告白してくれたここで別れようって。」
「だって、今まで仲良くやってこれたじゃん?」
僕は思わず声を荒げながら美雨に詰め寄った。
「それはいままで私が合わせてきただけでしょ?
悠は自分の都合ばっかりだったでしょ?
プロポーズもそうじゃない?」
言われてみれば美雨はいつも合わせてくれてた。
彼女の友達には会わないくせに自分の友だちの集まりには
必ず連れていっていた。
「でも、美雨だって楽しんでただろ?」
「知らない人のところに連れてかれて気を使ってたことにも悠は気付いてなかっただけでしょ?」
「…じゃあ言えばよかったじゃないか?」
「言ってたらとっくに別れてたと思うよ?」
「結局悠は自分に合わせてくれる都合のいい女が欲しかっただけだもの。
でも、もう疲れたの。
今までありがとう。
これ以上話しても時間の無駄だからさようなら。」
「…。」
僕は結局一世一代の決意表明とともに大切な彼女を失いました。