男友達と素顔の私-12
「そう言えばさ、その……ホントに大丈夫なのか?」
あけすけが売りの大樹にしては珍しく口籠もった問いかけ。
私は小首をかしげてその顔を覗き込んだ。
「いや、だからっ 2回もその……な、なかで出しちゃって……さ」
途切れ途切れに心中を吐露する大樹に対して、
私はあっけらかんと笑って答えた。
「んん、知らないっ なるようになるよ!」
「な、なるようになるっておまえ……」
驚いた様子で身体を起こし上げる大樹。
そりゃ大樹の本質が真面目なのは充分知っている。
けれど、そういうことを気にするヤツだなんて思ってもいなかったから、
意外というか、その真剣な眼差しに思わず私はたじろいでしまった。
「だ、だって…… 中出しはおろか生でしたのなんてはじめてだもんっ」
「……はぁ?マジかよっ」
呆れるような、どこか納得するような大樹の溜息。
別に後悔なんてしていない。
ノリだなんて言ってしまうと怒られるかもだけど、
その時は本気で大樹自身をこの身で感じたかったのだ。
薄皮一枚の隔たりさえ我慢出来ないほどに……
「……どうすんだよ?」
「ん?なにが?」
「なにがっておまえ……」
「あはは、もうっ やだなぁ、そんな真剣な顔しちゃってぇ」
そう言って茶化す私を変わらず真剣な目で見つめる大樹。
わかってる、大樹はそういう男だ。
でも、別に大樹を困らせたくてしたわけじゃない。
私は私がしたいように、私が感じるままにお願いしただけだ。
「大丈夫よっ!なにがあっても大樹には迷惑かけないって……」
「そ、そうかっ それならよかったよかった…… ってばかっ!!!」
驚くほど激しく怒鳴られた。
もしも私が猫だったなら、
耳を後ろにさげ尻尾を丸めてしまうくらい怯えているところだ。
「お、怒らないでよぉ……」
「おまえが怒らすようなこと言うからだろうがっ!」
いい歳して誰かに怒鳴られるなんて随分と久しぶりだ。
誰と接する時も、もちろん元彼にだって、
なんでも笑ってやりすごせてきたのに……
ボリボリと頭を掻きむしりながら、黙ってなにか考え込んでいる様子の大樹。
いやだ、わけもなく沈黙が恐い。
大樹に嫌われたくない、大樹を嫌いたくない、
だからせめて自分の言葉で笑いに変え、何事もなかったかのように流したかったのに……