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【青春 恋愛小説】

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13-1

誠の件も手伝ってか、絢は予定より少し早く退院することが出来た。

絢には以前の笑顔が戻り、元は改まって誠に礼を述べた。




「水くさい事はやめてくれ、お義兄さん」




誠の冗談には元も励まされた。




自分だけではどうにも出来ないこともある。

青くさい話だとも思うが、仲間の大切さも噛み締めた。




平日にも関わらず、絢の退院の日には元たちや美帆、真紀も迎えに来てくれた。

絢は声を詰まらせながら丁寧に挨拶をし、かしこまった雰囲気もそこそこにそのまま元と絢の家へと移動した。




美帆が前に言っていた、絢と誠の退院パーティーだ。




二人が主賓の為、料理は美帆と真紀が担当。

他の男達は酒と煙草を片手に手伝ったり、手伝わなかったり。




それでも美帆を気に掛けて常に傍にいる元を見ては、真紀は美帆を前にしてもうっとりとしていた。




誠は傷も塞がり、左腕は自由に動かせるようになった。

まだ多少の痛みも残っているが、落ちた筋肉を取り戻すために適度な運動も必要と、医師。




絢は止めたが、久しぶりの宴会に誠も酒が進んだ。




宴も中頃、改めて誠は絢との交際を告げた。




皆一様に笑顔で、真紀は泣きながら祝福した。




崩れた穏やかな日常が、また穏やかに組みあがっていく感覚。


いつ、何が起こるのか分からない世界。




幸せはどこにでもあるし、いつでもその手から離れていく。


失くさないように、握り締めた。


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