13-7
「私、彼女じゃないの?」
「......俺、彼氏じゃねーの?」
質問をしたら、意外な返事が返ってきた。
彼氏です、と思いつつ返答に困っていると、起き上がった誠にそのまま押し倒された。
「......ごめん、我慢してたわ.....」
耳元をくすぐる誠の声は、どこか掠れいて切なかった。
誠の髪を撫でながら、答える。
「謝るくらいなら、言わないの......」
絢は、初めて男を知った。
痛みと、後の快感。
見たことのない、誠の切ない顔。
聞いたことのない声。
発したことのない声。
混ざり合い、果てたお互いを抱きしめ合う。
「.....絢ちゃん、痛かった?」
「....大丈夫。誠くんの傷に比べれば」
「いやいや、んなわけないっしょ」
絢は、まだうっすら残る誠の傷を指で優しくなぞる。
やがて、唇を寄せた。