13-6
「絢ちゃん...」
「いやです.....一人は....」
「でも、久しぶりの家だよ?ゆっくり、のんびりしな」
「帰りたい.....の?」
困らせたくない。嫌われたくない。
だけど、帰ってほしくない。
「....一緒にいたいに決まってるだろ」
先ほどまでより少し低い声。
再び隣に座った誠の重さで、傾く。
「.....ごめんね....」
「謝るくらいなら、言わないの」
髪をくしゃくしゃにされる。
事実なので致し方ないが、完全に年下扱いされている。
心地いいが、見返してやりたい気もする。
「なんか....妹扱いしてるぅ....」
「そんな拗ねた顔するなよ」
「むぅ....」
「せっかくの、可愛い顔がさ.....」
誠は、頬にキスをした。
「....ほら、また妹扱いだ」
間髪いれず絢から唇を重ね、押し倒した。
馬乗りになる。
誠の傷のことは忘れていた。
「兄貴の妹だから?年下だから?それとも.....あんなことがあったから....?」
言いながら涙がこぼれる。
困らせたくないのに、泣きたくないのに、好きなのに。
副交感神経とは、随分複雑な動きを見せるようだ。