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絢と真紀以外はかなり、酒が回っている。
鉄弥に至っては就寝中だ。
寝ている一名以外は皆盛り上がっていたが、絢と誠は内々で雰囲気を出し始めたので暁生は気を使って帰ることにした。
鼾をかいている鉄弥を蹴り飛ばし、起こす。
方向が同じ暁生、真紀、寝起きの鉄弥は介抱されながら帰っていった。
直後、元も美帆の手を引いて家を後にした。
「元ちゃん、いいの?絢ちゃんと一緒にいなくて」
「.....いいんです。えぇ」
「あー、元ちゃん酔ってるなぁ?」
「んなことねーよ。てかさ、まだ飲むっしょ?」
「もち!」
赤ら顔の男女二名は、手を繋いで世田谷通りを歩いた。
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途中の酒屋で買い足した二人は、家に着くなりすぐさま飲みだす。
絢が無事退院したこともあってか、元はいつも以上に酒が進み、饒舌になった。
元の髪を撫でながら、美帆は聞き手になる。
思い出のソファで二人寄り添って過ごす時間。
お気に入りの音楽。
ここ何日間かの緊張がほぐれ、「いつもの」と呼べる何時もの時間が帰ってきた。
「なんかさ、絢たち初々し過ぎてさ、見てるこっちが恥ずかしくなるよな」
「だってそりゃあホヤホヤだもん」
「いいねーそのホヤホヤなドキドキ感」
「ねぇそれどういう意味ー?一年以上経てばもう私じゃドキドキしないってか?んー?」
「んなわけないだろ.....」
突然唇を奪われた。
舌を介して漂うアルコールの香り。
先程までの元とはまるで別人のよう。