12-5
「うん。俺ね、明日退院だし」
「ほんと?.....よかった....」
「あとは、絢ちゃんだよ」
「うん.....がんばる....誠くんが待っててくれるなら...」
「安心しなさい。学校も、一緒に行こうぜ」
「うんっ...」
「ね、顔見せてよー」
「.....はじゅかし.....あ、噛んだ.....」
「あっはっはっはっ!」
病室に響く二人の笑い声。
誠がいれば、何も恐くない。
絢は、前を向いた。
窓際のサボテンは、天に向かって咲き誇っている。
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あ「なぁ、げんちゃん.......」
は「.......ん?」
あ「泣いてもいいですか....?」
は「...どうぞ....」
て「......俺、一足先に泣かせてもらってます....」
絢の病室のドアの隙間から中を窺う三人の目は、真っ赤だった。
あ「.....ドラマみてぇだ.....」
て「ほんとに.....」
は「.....誠君がイケメン過ぎる件について.....」
あ「ほんと、半端ないね...」
て「見習おう....」
は「そういや、てっちゃんだけなんだな、童貞.....」
あ「あ.....」
て「おだまり....!!」