12-4
「あ.....え?」
「絢ちゃん、付き合ってください」
誠は、真剣な眼差しをしている。
絢は、どうだろうか。
「え?.......えーっ....?...本気?」
「本気です。俺と付き合ってください」
視界に映る誠が、ぼやけていく。
何かが込み上げる。
声を出さなければ。
「.....うん....うぅ.....」
堰を切ったように溢れる涙。
誠は泣きじゃくる絢の傍に座り、そっと花束を添えた。
「絢ちゃんは、俺が守る」
「うん........うん.......」
「俺ね、あれから絢ちゃんのことが頭から離れなくて。すげぇ昔からの馴染みだけど、そういうんじゃなくてさ」
「......うん........」
「絢ちゃんの傍にいたい。俺が守りたいって思ったんだ」
「.......ぅぅぅうぅ...」
「だからもう、悲しい涙は流させないから。嬉し泣きと笑い泣き以外の涙は窓から捨てちまいなー」
「ううぅー......ありがとぅ......」
「ね、絢。笑って見せて」
突然呼び捨てにされ、鼓動が更に早まる。
誠の右手が頬を伝い、涙を拭い去る。
頬伝いに感じる温もり。
その手に導かれるように顔を上げた。
不意に視界が誠で一杯になる。
初めての経験で、何が起こっているのか全く分からない。
唇が重なっている。
たったそれだけ。
だが、しあわせだと感じる。
「.....うぅ......誠くん、好きだよぅ.....」
「俺も....」
再び重ねた唇は、先ほどのそれよりも長く、激しかった。
少し息が上がる。
落ち着いた絢は、キスの恥ずかしさのあまりにベッドに顔を埋めた。
誠はそっと髪を撫でる。
「俺、毎日来るわ」
「.....大丈夫なの?」
絢は顔を埋めたまま返事をした。