12-2
「あ....誠くん.....?」
「おいっす....。元に聞いてさ、来てしいまいました」
「な.....病院は?」
「抜けた。担当の看護師には、散歩行くって伝えてあるし」
「あ.....そうなんだ....」
「うん...」
会話が途切れる。
「....絢ちゃん」
誠が切り出した。
「そっち、行っていい?」
「あ、うん!」
声が上擦っている。
恋心だけではない。
誠の左腕から肩に掛かる包帯は、自分が原因のものだ。
絢は、感情が交錯して誠を直視出来ないでいた。
誠が傍に座る。
風が吹いた。
「.....今日、暖かいな。ちょっと汗かいちゃったし」
「うん....」
「よかった。思ったより顔色いいね」
「そうかな.....ははっ....」
「うん。ほんと、よかった...」
誠の声は、穏やかだ。
「誠くん...」
「ん?」
「ごめん.....なさい。私のせいで.....」
喉の奥が詰まる。
気を抜くと涙が溢れそうだった。
「何言ってんのさ」
「.........」
「もうさ、ちょっとした救世主気分よ。憧れてたんだよね。あんなシチュエーション。実際、ちょっとビビったけどね.....」
照れながら話す誠。
許されるなら、抱き着きたいくらいだ。
「誠くん.....」
「これは名誉の負傷で、男の勲章。気にすんな」
「........ありがとう.....」
「絢ちゃんは?調子どう?」
「うん...まぁまぁ、かな.....」
「....まだ、痣あるね。かわいい顔にさ」
「恥ずかしいなぁ....」
「女の子の顔に手を上げるとか、ほんと腹立つんだよね」
「うん.......」
カーテンが揺れる。