第一章-3
外に出て少し歩き駐車場に着くと雄太は彼女の車に乗せられた。
しばらく車で走っていたが彼女は一言も喋らないで黙々と運転しているので雄太はその沈黙に耐えられなくなり
「あの、どこに行くんですか?」
と少し緊張しながら聞くと彼女は表情を変えずに
「あれ?たしか警察署ってこっちだったよね」
と呟いた。
雄太は驚き
「えっ、だってさっきは……」
慌ててそう言うと少し悪戯っぽく笑いながら
「冗談よ、黙って待ってなさい」
と言いまた何も言わずに運転に集中した。
しばらく走り人気の無い河原に車を止めると
「あなたさっき私がトイレ入ってたの覗いてたでしょう」
そう言って雄太を睨み付けた。
「……すいません」
「しかもビデオかなんかで撮ってたわよね」
「すっ、すぐ消しますから」
そう言って携帯を取り出すと横から突然手が出てきて雄太の携帯をサッと取り上げてしまった。
「あっ、あの…」
雄太の言葉を遮り
「あらっ、私の携帯と同じね」
そう言って勝手に操作し始めた。
(マズい、他の動画まで見られたら)
そう思い力ずくで携帯を取り返そうとした。
しかし簡単に腕を捻られ
「痛い、すいません、すいません」
と情けない声をあげ、何の抵抗も出来なくなった。
彼女は笑いながら
「馬鹿ねぇ、女だからって力ずくで勝てるなんて思っちゃ駄目よ、自信無かったらこんな人がいない所にくるわけないでしょ」
と更に関節を逆に締め上げた。
「いたたっ、もう抵抗しないから、折れちゃう!」
雄太は涙目になり必死にそう言うとあっさり手を離し、再び携帯を操作し始めた。
しばらくして
「こんなに沢山撮ってたの……これじゃあ初めてで魔が差したなんて言い訳出来ないわね」
「……はい」
「あらっ、このタイトルのお店と名前、やだぁ〇〇ちゃんじゃない、こんなに沢山……うわっ、グロい!」
生理の物や下痢の動画まで見て彼女はしばらく唖然としていた。
そして
「あなた可愛い顔して、こんなの警察で見られたらどう言い訳するつもり?」
雄太は何も答えられずに黙って下を向く事しか出来なかった。
「まぁ、警察には行かないって約束したから、でもこれはお仕置きしてもう二度とこんな事しないようにしないと駄目ね」
その言葉に雄太は恐る恐る顔を上げると彼女は妖しい目をして
「じゃあ行くわよ」
と再び車を発進させた。