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そこにある愛
【コメディ 恋愛小説】

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そこにある愛-7

吉野家と同じ、オレンジを基調にしたお店だけど垢抜け具合は断然違う。


ほんのり暗い照明と、黒と白で統一された丸いテーブルとスツール。


ホワイトボードには本日のオススメコーヒーと本日のケーキが可愛い字でカラフルに書かれていた。


ショーケースには、小ぶりだけど彩り鮮やかで美味しそうな可愛らしいケーキ、お店手作りを謳った野菜がタップリ入ったサンドイッチや、可愛らしくラッピングされたベーグルなんかが並んでいた。


店内は割と空いていて、ゆったりとお茶ができそうだったし、お茶をしてる人達は、若くて華やかな女の子や、少女漫画に出て来そうな綺麗なカップルばかりで客層までイケていた。


このカフェの雰囲気が一目で気に入ったあたしは、目をキラキラ輝かせながらレジの前の列に並んだ。


うちの大学の近くにこんな素敵なカフェがあったんだ……!


自分だけの穴場のカフェを見つけられ、一気にテンションが上がる。


よし、ここをあたしの隠れ家的カフェにしようっと。


そう決めた所で、お店の雰囲気に馴染んでいる細くて可愛い店員さんが、


「いらっしゃいませ、こちらにもメニューがございます」


とまばゆい笑顔であたしをレジに促してくれた。


意気揚々とレジ前に敷かれているメニューに目を移すけど、


……高い。


一番安いブレンドコーヒーですら450円もする。


食べ物だってケーキは500円から、サンドイッチもベーグルも400円はするし、レジ前に置かれたカゴに入ったクッキーだって、薄くて小さいのがたった一枚入っただけで300円もする。


お得なケーキセットだって800円もするなら全然お得じゃない。
牛丼2杯より高いなんて!


今月、あと一週間を2千円で過ごさないといけないのに……。


あたしはすぐさま吉野家へと走り出したくなった。


しかし、宮崎あおいちゃんに似た可愛い店員さんのスマイルがあたしの身体を捉えて離さない。


「ご注文はお決まりになりましたか?」


「あ…、じゃあブレンドで」


頭の中でブレンドと吉野家の牛丼がぐるぐるまわりながらもあたしはなるべく平常心でそうオーダーした。






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