そこにある愛-4
まあ、実はあたしだって人の容姿にとやかく言えるほど恵まれた外見ではないのだけれど……。
かくいうあたしは、平安時代ならばもてはやされたであろう薄い顔、少しむっちりした身体がコンプレックスのもっさり田舎娘である。
恋愛体質を謳うわりには恋愛経験はゼロの冴えない女だった。
それでもせっかく花の都大東京に生活の場を移したからには、もっさり田舎娘から愛されモテガールになりたくて、生まれ変わるべくオシャレやメイク、ダイエットなどの“自分磨き”を精一杯頑張ってきた。
でも、そんなあたしの努力にいつも水を差すのは元気だった。
可愛いミニスカートや、セクシーなワンピースなんかを着て脚を出せば、“すね毛の剃り跡プツプツしてる”と言われ。
一重の細くて小さな目を頑張って大きく見せようと、アイプチやつけまつげをつけて見れば、“なんか残念”と呆れられ。
それならばと頑張って髪を巻いたり盛ったり、華やかに飾ってみれば“頭がデケェ”と笑われ。
恋愛モチベーションをあげようと加藤ミリヤとか西野カナを聴いていれば“やっぱ長渕だろ”と延々と『とんぼ』をリピートされ。
あたしが雑誌で見るようなモテ娘を目指そうとすれば、必ず元気が足を引っ張ってくるのだ。
あたしはこのまま元気といると、このレベルまで成り下がってしまうような気がしたので、
「元気、あんたハッキリ言ってウザいのよ!
あたし、これから素敵な彼氏作って毎日がオシャレで充実した大学生活を送るんだから、もう話しかけないでよ!」
と、大学の正面玄関前であたしは元気に向かって大声を張り上げ、奴との縁を切ろうとした。