そこにある愛-3
元気とは小、中、高、あげくに大学まで同じになってしまったいわゆる幼なじみってやつだけど、幼なじみなんてそんな甘いイメージのする言葉をコイツなんかには使いたくなかった。
幼なじみって恋愛小説では最高のシチュエーションでしょ?
でも、あたしと元気はそんなの当てはまるわけがない。
腐れ縁、悪縁、そんな言葉あたりが妥当だと思う。
あたしは元気みたいなダサ男と同レベルにされるのがとにかく嫌で、ずっとこんな風に露骨にウザいアピールをしていた。
だけど、当の元気は何食わぬ顔で馴れ馴れしく話しかけてくるわ、家に押しかけて似てないモノマネを披露するわ、年中ダイエットに励むあたしの前でスナック菓子をバリバリ食べこぼしたりするわで、常にあたしの神経を逆撫でしていた。
だから関わりを絶とうと、コイツにいつも罵声を浴びせてやるんだけど、暖簾に腕押しと言った感じでガハハと下品に笑うだけ。
そのせいか、いつも周りの人達には“茜と元気くんはホントに仲いいよね”と誤解されてばかり。
喧嘩ばかりしてる二人が実は好き合ってるってのはよくある話だけど、それは“但しイケメンに限る”という言葉の通りで、あたしはこんなダサくてかっこよくない男なんて、まっぴらごめんなのだ。
もちろん、友達と思ったこともない。
単なる知人、それがあたしと元気の関係だった。