そこにある愛-13
誉さんは声を高らかにして笑い、
「やっべえ、本気にさせちゃったよ」
と、俯くあたしの肩をポンポン叩いた。
ビジュアル系がすかさず、
「茜ちゃん……だっけ?
コイツまじケダモノだから本気になっちゃダメだよ。
すぐ食われちゃうぜ?」
とニヤニヤいやらしい笑顔をこちらに向けた。
「おい、ケダモノってこたねえだろ、俺だってちゃんと相手は選んでるもん」
「あー、そうだな。
お前はめちゃくちゃ面食いだもんな」
金髪がバカにしたような顔であたしを見てから笑った。
「ってわけだから、俺なんかに本気になんないでね?
変わりにコイツらならいくらでも本気になっていいから」
「おい、やめろよ! オレらだってマジで勘弁だわ」
ガハハと盛り上がる三人。
もう、プライドをズタズタにされたあたしは悔しくて悲しくて、コイツらに啖呵切ってお冷やをぶっかけてやりたかった。
でも怒りは体を震わせるだけで、結局何も言い返せなかった。
あたしはバッグをサッと抱えて逃げるようにその場から立ち去ったけど、三人はおしゃべりに夢中になっていて、あたしが帰ったことにすら気がつかないようだった。