性と性-1
最初に目を覚ましたのは私だった。寝息の聞こえるほうへ視線を向けると、そこに庭朋美がいた。気持ち良さそうに眠っている。
ベッドの上に散らかっているものが、さっきまでの出来事が夢ではないと物語っている。
電池切れのピンクローター、変わり果てた姿のバイブレーター、それに三人分の下着が無造作に散っている。
むくっと起き上がると、夏目由美子の姿がないことに気づいた。いちばんに起きたのは私ではなく、彼女だった。
室内のどこからか水の滴る音が聞こえてきた。シャワーを浴びる音だとすぐにわかった。
私はバスルームに向かい、確かめた。中で夏目由美子が汗を洗い流しているのだと思った。目隠しのカーテン越しに人影が見える。
「由美子?」と呼びかけてみた。中の人影がこちらを振り返る。
私がドアを開けると、シャンプーの香りを含んだ湯気が溢れ出して、その向こうに夏目由美子の姿があった。
「おはよう。目が覚めた?」
そう言って彼女はシャワーの栓をひねる。お湯のいきおいが弱まり、やがて止まった。
「おはよう。ていうか、今何時だっけ?」
「多分……六時前くらいだったと思うけど」
「そっか。いつの間にかみんなで眠っていたみたいだね」
「ねえ、里緒」
「なあに?」
「一緒に洗いっこしようか?」
「いいよ。それならちょっと待ってて」
学生旅行のお泊まり気分になった私はバスルームを出ると、思いついた物を手にしてふたたび舞い戻った。
「またこれでしたいんだけど……」
私はディルドを彼女に見せた。首が二つあって、それぞれに亀の頭がついている。
それをボディソープで洗い流して、まず彼女が握りしめた。
猫じゃらしをあたえられた子猫みたいに、玩具に興味の眼差しを注いで、もてあそんでいる。
「里緒の下のお口はどこ?」
彼女に促され、私はタイル張りの上で四つん這いになり、お尻を上向きにした。
「いけない人妻さんだね。こんなに濡らして、紅くなってる」
ほら、と彼女はディルドの頭を私の陰部に密着させた。その太さが陰唇につたわってくる。
ゆっくりとした動作で縦方向に割れ目をなぞり、慌てない慌てない、というふうに膣口をいたぶる。
「もうだめ……、はやくちょうだい……」
気持ちが先走る。私は腰を振って催促した。彼女はすぐに答えをくれた。
なめらかな弾丸が膣を撃ち抜いて、めりめりと満たしていく。
「ああ……いい……入ってくる……」
三分の一ほどが挿入されたところで、今度は夏目由美子がもう一方の頭を自分自身に向けて、慣れた手つきで入れていく。
「はうん……気持ちいい……」
二人の体がつながっている。それだけで感動が溢れてきた。
女と女の波のうねりの中で、私はセックスの悦びを再認識していた。
これでいい。心の底からそう思った。