ホワイトアウト-5
「由美子のおっぱい、こおんなに起ってる。可愛い」
私は遊び心を込めた感じで、彼女の乳輪をまるく撫でた。
そこに追い討ちをかけて、小さな乳首を舌ではじいてあげる。その硬さが舌を押し返してくる。
「あん。下も舐めて……」
ねだられるまま、今度は私が上で彼女が下になって、シックスナインの体位に持ち込む。
淫らに胴体をしならせる二匹の女豹。剥き出しになった生殖器の匂いを嗅いで、発情のしるしを確かめる。そして本能のままに吸いついていく。
私は夏目由美子の名器を堪能した。おそらく彼女もそうだろう。膣内に彼女の舌を感じる。
もはや口は口ではなく、クンニリングスのためだけに動いていた。
まだ挿入にも至らない前戯だけのはずなのに、今にも上り詰めてしまいそうな感覚を子宮直下に感じていた。
「ああ……いく……あたし……いっちゃう……」
自分の体が幽体となってさまよっている、そんな気分だった。
彼女の白い肌がスローモーションの残像を見せている。アクメがやって来る。骨盤が落ちる。そして跳ね上がる。
体中の毛穴が開いた瞬間、とうとう私は絶頂した。
「私も逝かせて欲しい。お願い……」
彼女は体を大きく開いてみせた。私は指を束ねる恰好で、彼女の膣深くにそれを埋めていった。指の股から愛液がつたってくる。
「いい……、すごくいい……」
言いながら彼女の指がまた私の膣に挿入される。
「あふん……」
一度絶頂を味わった体は造作もなく女を取り戻していた。火がついて炎に変わっていく。
互いのどこがどう感じるのかを知り尽くしている、そんな愛撫の中で私たちは果てた。
「そろそろ、あれが欲しい」と私は切り出した。行為が終わったばかりのベッドの上だった。
「何が欲しいの?」
「何ていうか、その……」
「バイブを経験したいの?」
気持ちを読み取られ、私は小さく頷いた。
「痛くない?」
「そんなに怖がらなくてもいいよ。とっても良くなるから」
会話の中で、私はふとあることを思い出した。いちばん大事なことを確かめないままだった。
「由美子だったんだね」
「私?」
「交流サイトで私が知り合ったノブナガさんがあなただったなんて、意外」
すると彼女はえくぼをつくって微笑んだ。
「違うよ」と彼女は言った。
「違うの?私はてっきり由美子がノブナガさんだと思ってた。オリオンのこともよく知ってるし、私のことだって」
「私はノブナガじゃないけど、ノブナガさんのことはよく知ってる。ほんとうの名前は千石寛でしょう?」
「まさか。それじゃあ彼とどういう関係なの?」
「どういう関係だと思う?」
私は首を横に振る。彼女は無邪気に笑った。
「もうすぐクリスマスでしょう?」
「そうだけど、それとこれとどういう繋がりがあるの?」
「里緒はもう会ってるはずだよ」
「私がノブナガさんと?」
意外なことを言われ、これまでのいきさつを振り返っていたときだった。
ドアをノックする音が聞こえた。この部屋には裸の女が二人きり。
こんな状況で一体誰が、と夏目由美子に視線を送ると、彼女はひるむことなくドアに近づいた。
「サンタクロースが来たみたい」
彼女の言う意味がわからず、私は少しだけ警戒した。