ヘタレ男と愛玩奴隷-8
そんな幸せな朝をぶち壊す声が外から響く。
「うぉーい!!ケイ!!今日、朝市当番だぞっ!」
漁師の組合で開いている朝市……交代で店番をするのが決まりだ。
運悪く今日が当番だったらしい。
ケイはチッと舌打ちして窓から顔を出した。
「直ぐ行く!先行っといて!」
そう返事をしたケイだったが、外の連中はパクパクと口を動かすだけで応えない。
「?」
首を傾げるケイの背中を、アメリアが遠慮がちに指でつついた。
「ケイさん……ここ……私の部屋です……」
ケイの部屋は3階……アメリアの部屋は屋根裏……そのアメリアの部屋から、しかも裸のケイが返事をしたとなると……何があったかぐらい誰でも想像はつく。
「あ」
ケイはしまった、と慌てて引っ込んだが時既に遅し。
「ケイ!てめぇっ!俺らのアメリアちゃんに何しやがった!!」
「とっとと降りて来い!!八つ裂きにしてやるっ!!」
嫉妬に狂った海の男達が外から怒鳴り、ケイはダラダラと冷や汗をかいた。
そんな早朝の騒ぎを向かいの花屋から覗くタリア。
「ふうん……ヘタレ卒業かな?」
3階にあるタリアの部屋からは、屋根裏部屋のアメリアの様子が良く見える。
とても幸せそうで嬉しそうなアメリアは、朝日に照らされて凄く輝いて見えたのだった。
数年後、アメリア本人とケイの献身的な努力により、彼女の胸が急成長を遂げる事は……まだ、誰も知らない。
ーヘタレ男と愛玩奴隷・完ー