ヘタレ男と愛玩奴隷-2
(……カッコつけんるじゃなかった……)
今更、後悔しても遅い……ケイはがっくりと首を落として再び深々とため息をついたのだった。
「なあにぃ?元気無いじゃん」
そんなケイに声をかけてきたのは、向かいの通りの花屋の娘タリアだ。
薄い金髪に薄い緑色の目、そばかすがチャームポイントの元気なタリアは、ケイより3歳下の幼なじみ。
「うっさいな。仕事しろよ仕事」
「仕事中よっ!あんたと違ってね」
タリアの言った通り、彼女は大量の花を抱えていた。
一方、ケイはボケッと行列を眺めていただけ。
ケイはばつの悪い顔でそろっと視線を外した。
「さっさとモノにしちゃえば良いのに〜そしたら声を大にして『俺の女だー!』って言えるでしょう?」
どうやら幼なじみの彼女には全てお見通しらしい。
「うっさいっての、お前にゃ関係ねぇだろ」
「はいはい……全く……ヘタレなんだから……」
タリアの言葉は最後にいくにつれて小さくなり、ケイには良く聞こえなかった。
「あ?」
「何でもなぁい。とにかく、彼女も待ってると思うよ?」
タリアは花を一輪、ケイの髪に挿してその場を立ち去る。
「……変な奴……」
ケイは頭についた花を手に取り、くるくる弄りながらタリアの後ろ姿を見送った。
そんなケイとタリアの姿が、アメリアの目に入った。
丁度、行列の客を店内に案内しようと出てきたところだったのだ。
この数ヵ月、あの2人が一緒に居るのを良く目にする。
まあ、ご近所さんだし?幼なじみだし?年も近いし?仲が良いのは当たり前なのだが……。
(……私じゃつりあわない……)
2人を見る度、そう思う……18歳にしては幼い自分の外見は、どう見ても13〜15歳。
27歳でバリバリ働いている逞しい海の男の横に立つと、妹にしか見えない。
それに比べてタリアは24歳だし、フラワーアレンジのセンスも素晴らしくて……何より胸がデカい。
アメリアはチラッと自分の胸元に視線を移し、深々とため息をついた。
プロポーズはしてくれたが、ケイはアメリアに手を出してこない。
それは……やっぱり……魅力の無いこの身体のせいなんだろうな……などと思い、アメリアはドーンと落ち込むのだった。