冥界の王T-1
「先程からの反応を見ていればわかるが・・・悠久とキュリオ殿にとってその者が重要な存在であることはわかった」
ため息をついたマダラは己の顔にかかる艶やかな髪をかきあげた。
「魂を覗いて何がわかるか・・・それを頼みにきたお前ならそれはわかっているな?」
ギラリと妖しく光ったマダラの瞳にアレスの姿がうつる。
「・・・はい。
その魂に刻まれた使命や誓約・・・本人でさえ気づかぬものが見える・・・と。」
「魂を覗かねばわからぬほどの問題が生じたということか・・・」
「・・・前例がないのです
それがただの体質によるものなら・・・問題はないのかもしれません。ですが、それが途方もないものだとしたら・・・」
「ならば尋ねよう。
もしその謎が悠久やキュリオ殿を脅かすものだったらどうする。お前の役目は悠久の民と王であるキュリオ殿を守ることだろう?」
「・・・っ」
ぐっと拳を握りしめたアレスが勢いよく顔をあげた。
「そんな、まさか・・・っ!!
癒しの力を持つ者が他の者を苦しめることなどありえませんっっ!!あの方はキュリオ様の・・・・」
言いかけてアレスがぎゅっと口をつぐんだ。思いもよらぬことをマダラに告げられ、ここにきて大きな不安がアレスを襲った。
「・・・それなりの決意があって私の元を訪れたのかと思ったが・・・お前は自分の命の事よりも・・・その魂の主の最悪の状況を恐れているようだな?」
「・・・・
手がかりがつかめれば・・・あのお方がこの先、何事もなく・・・あの優しい笑顔のままキュリオ様のお傍にいられるのなら・・・
しかし、何か誓約があって・・・それが破られたとき命を落とすようなことがあっては、キュリオ様は・・・・」
自問自答しているアレスをみてため息をついたマダラは片手をあげた。
「もうよい」
「真実を知る勇気がないのならばお前はここに来るべきではない。その者がこれからどうなるかより・・・、私の一撃からお前を守ったあの結界の主のほうが私は気になるよ」
「それは・・・私にもわかりません」
そんなことが出来るのはキュリオのほかに心当たりがないのだ。