第八話(行為なし)-1
「中出しされて、嬉しかったんですか?」
「ちが…わなくはないけど、そうじゃない…」
「じゃあ…?」
「元気…出たから…」
***
ベッドの上に横たわる。
「カメラ…止めないのか?」
「まだいいじゃないですか」
ラブラブなところを見せつけるのが目的であって、セックスを見せつけるのが目的ではない。
いや、それが一番てっとり早いと思ってセックスしただけであってね。
「そうか…竜」
「なんですか?」
「結婚しよう」
「けけけけ結婚っ!?」
世界中の人が見ている中でプロポーズをされた。
「今すぐというわけではない。竜が高校を卒業してからだ」
「まぁ、僕まだ15ですしね…」
「結婚、してくれるか…?」
不安そうな表情、不安そうな声音で問いかけてくる。
「あの…」
返答はもう決まっている。
高校生、それも中学卒業したて程度の知識だが、結婚というのがどういうものかは理解しているつもりだ。
「僕で、よければ…」
「ふふ…じゃあ、結婚するまで中出しは禁止な」
「…………え?」
「え、ではない。当然だろう?」
「で、でも、今まで散々中出ししてきましたし…!」
「あれは…竜が、いつか私を飽きて捨てたときのための保険というか…」
「こわっ!?そこまで計算してたんですか!?」
僕が別れを切り出す→赤ちゃんできちゃったけど責任とってよ→結婚。こう考えていたわけですね、わかりません。
「子どもは10人欲しいな」
「無理ですって…」
「これからの頑張り次第でなんとかなる」
なんとかなったら少子化問題にならないんじゃ…。
そのへんはわからないけど。
「はぁ…高校デビューが世界デビューになっちゃったなぁ…」
オタクを卒業し、高校に入学して彼女を作って素晴らしい高校デビューができたと思ったら、世界中にセックスを見せつけて世界デビューとか。誰が予想できただろうか。きっとノストラダムスでも以下略。
「高校デビュー?」
「はい。僕がオタクだったのは、中学までなんですよ」
「なるほどそういう設定か」
「いやいや設定とかじゃなくて」