第六話(行為なし)-3
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翌日の水曜日。
「朝ですよ香澄さん。学校に行きましょう」
「……やだ」
「やだって…香澄さんは生徒会長じゃないですか。会長が休んでどうするんですか」
香澄さんはガバッと布団の中に潜り込んだ。
「どうせ降ろされる…」
学校側には多大な迷惑をかけたのだから、香澄さんは生徒会長を降ろされ、僕も最悪退学になるかもしれない。
「サボるなんて香澄さんらしくないですよ」
「竜がいれば、それでいい…」
「香澄さん…」
僕も布団の中へ潜り込む。
「今日だけは香澄さんの我が侭も聞いてあげます」
「竜…大好きだ…」
「でも、明日はちゃんと学校に行きましょうね?」
「うん…」
指切りをし、僕たちはその日一日中エッチをしていた。
***
翌日の木曜日。
「竜、置いていかないでくれ…」
香澄さんはまたも布団の中でぐずっていた。
「置いていきませんから、ほら起きて」
無理やり布団を剥がす。
「竜のえっち…」
「いつまでも裸のままだと風邪引いちゃいますよ。ほら着替えて」
「行きたくない…」
「昨日約束したじゃないですか」
「私には竜がいればいいんだ…竜以外は何もいらないから…一人にしないでくれ」
「っ…」
心を揺さぶられてはいけない。
ここは心を鬼にして無理やりにでも学校へ連れて行くべき。
「学校に行かないなら別れます」
「竜はそんなことしない…」
「ほ、ホントに別れます」
「じゃあ自殺する」
「…………」
今の香澄さんならやりかねないと思った。
「別れるというのは嘘です。別れたくありません」
「じゃあ隣で一緒に寝てくれ…」
「それはできません。僕一人で学校に行ってきます」
布団を返す。
「帰ってくるか…?」
「もちろん。ここは僕の家ですよ?」
厳密には両親の家なんだけど。まぁそんな細かいことはいいか。
「じゃあ待ってるから、キスしてくれ…」
「ん」
軽く唇を重ねる。
「早く帰ってきてくれよ…?」
「善処します」
***
一、二時間目を自習にされてまで教師に説教をされ、結局今日のところは保留にして連休明けに僕と香澄さん、それから二人の両親を交えて話し合うということになった。